31Oct2007Radiohead(レディオヘッド)『In Rainbows』レポート:これまでの経緯
katayama | 2007/10/31 07:05 PM

リリース後、各所に衝撃を与えているレディオヘッド最新アルバム『In Rainbows』。音楽界を激震させた本作品を中心に、それを取り巻く周辺状況とあわせて、レジュメしたいと思います。
レディオヘッド『In Rainbows』リリース以前 - 地殻変動の予兆 -
レディオヘッド『In Rainbows』リリース以前に、実はひとつ、その後を予感させる大きな事件がありました。それはプリンスのニューアルバム『PLANET EARTH』無料配布です。
・殿下ご乱心?Prince、新作『PLANET EARTH』を新聞付録で無料配布
〈Mail on Sunday紙〉の付録として配布が決定されるやいないや、現地リリース元法人&CDショップが激怒するなど波紋を呼び、その動向に注目が集まりました。
・Prince、新作『PLANET EARTH』を新聞付録で本当に無料配布!
とはいうものの、いざ無料配布がはじまると、当事者が「あの」プリンスだったこともあり、「殿下お得意のエキセントリックな振る舞いか」と、この時点ではプリンス殿下珍事の歴史の1ページに刻まれるに留まっていました。
しかし、これが珍事ではなく変化の先端だったと、後に痛感させられることになります。それには、やはりレディオヘッド『In Rainbows』の登場を待たねばなりません。
『In Rainbows』をリリースするまでのレディオヘッド
プリンス『PLANET EARTH』無料配布以前のレディオヘッドは、所属レーベルも不透明なまま、アルバムの制作の情報が断片的に伝わり聞こえるという状態でした。
・レディオヘッド、レコーディングを再開
・レディオヘッドのニューアルバムは"恐ろしい"アルバム?
・レディオヘッド、新曲音源の一部をブログにアップ
『PLANET EARTH』無料配布と前後して、レディオヘッド周辺から「どうやら『Hail To The Thief』以来、7枚目となるスタジオ・アルバムが完成したようだ」という噂が聞こえるようになります。とはいえ、アルバムの存在自体不確かな部分が多く、またリリースされるとしても、その時期は当初来年と目されていました。ところが…
・Radiohead、新作アルバムがほぼ完成
・Radiohead、新作は完成済み?
・Radiohead、新作アルバムの発売は来年に
日本全国がうだるような残暑にまいっていたころ、バンドのオフィシャル・ブログに謎の暗号が上げられたり、アルバム発売に関連がありそうな謎のサイトがロンチされるなど、レディオヘッド周辺がにわかに騒がしくなります。
・Radiohead、新作の内容は暗号で?
・Radiohead、新作に関する謎のサイト出現、リリース日も決定?
そんな情報にいろめきたつ周囲を尻目に、レディオヘッドのニュー・アルバム『In Rainbows』は、突如そのベールを脱ぎました。
・Radiohead新作『In Rainbows』を、自身のサイトで緊急発売!
突然のリリースもさることながら、待ちわびたファン&関係者の度肝を抜いたのがバンドの運営サイトからの直接販売、しかも価格自由設定という販売方法でした。レコード会社を介さないその完全インディーズな販売スタイルは、一挙に衆目の注視を集めることになります。
大きな注目が集まる中、スタートした先行ダウンロード販売は、当初、アクセス過多でサイトがダウンしたことを除きスムースに進行、(バンド・サイドは否定しているものの)120万ダウンロードに迫るとの声もあり、成功を収めています。
・Radiohead、来年にツアーを開始。新作のセールスは120万枚?
・Radiohead、新作ダウンロード販売でサイトがダウン、チャートはどうなる?
レディオヘッド『In Rainbows』リリース以後 - 加速する地殻変動 -
『In Rainbows』の衝撃が覚めやらぬ現在、レディオヘッドに同調するような動きがミュージシャンの間で同時多発的に発生しています。
大きなところでは、マドンナやナイン・インチ・ネイルズがレーベルを離脱(マドンナはその後、レコード会社でないコンサート・プロモーション会社と契約)。オアシスやジャミロクワイもその動きに続くのではといわれています(事実、オアシスはオフィシャル・サイトで新曲を直販)。
最近も、再結成ヴァーヴのセッション音源無料ダウンロードや、元キンクスのレイ・デイヴィスがニュー・アルバム(全12曲)の10曲バージョンをプリンス方式で無料配布、トレント・レズナー(ナイン・インチ・ネイルズ)が全面プロデュースを手がけたソウル・ウィリアムズのニュー・アルバムもアルバム・サイトで無料(もしくは5ドル)ダウンロード…といった具合に、『In Rainbows』をきっかけとした、作品のデジタル化や無料配布の流れは加速しています。
レディオヘッドも『In Rainbows』パッケージ版(ボックスセット)に関しては、レーベルに委託するという情報もあり(現在のところ、アメリカ国内は〈ATO Records〉、アメリカ以外の国ではトム・ヨークのソロ『The Eraser』をリリースした〈XL Recordings〉がディストリビューションを担当するという噂)、パッケージとしてのCDやレコードが早々に一掃されるということはないでしょうが、インターネット、ダウンロードそして音声ファイルによる音楽鑑賞の一般化によって、いつか起こるといわれていた、音楽のデリヴァリー方法の激変、そして音楽業界の地殻変化、我々はまさにその渦中にあるようです。
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