賃貸契約時に求められる連帯保証人は非常に大きな責任を負い、借主に何かあった際にすべての支払の義務が生じます。
貸主側から見れば賃料や修繕費などを回収する為の最後の手段となるので、連帯保証人には誰でもがなれるというわけではありません。
連帯保証人にはどのような人が適しているのか、また連帯保証人になった場合はどのような責任が生じるのか説明をしていきます。
1. 【賃貸の連帯保証人の条件】依頼者に何か決まりはあるの?
連帯保証人を依頼する相手は、同一世帯でない限りは絶対に守らなければいけないルールはありません。
友人や知人に依頼することはもちろん可能で、相手が承諾すれば連帯保証人として情報を記載出来ます。
ただし賃貸物件の管理会社や大家さんなどが保証人として相応しいかどうかを見極めますので、その審査に問題があったような場合には連帯保証人にはなれません。
安定した収入の有無や社会的な立場、年齢、家族構成なども連帯保証人の審査の材料になります。
極端に言えば大家さんが連帯保証人として認めれば無収入の人でも連帯保証人になれます。
しかし前述したように家賃や費用を回収する最後の手段が連帯保証人なので、やはり支払能力がある人物が選ばれることが多いです。
2. 【賃貸の連帯保証人の条件】どんな人に依頼するのがいい?
さて、では具体的には連帯保証人はどんな人物が相応しいと考えられているのでしょうか?
一般的に連帯保証人として認められやすい条件を記載します。
- 契約者の親族(2親等以内)である(同一世帯は不可)
- 安定した職業についていて収入が一定である
- 同県内や近隣に居住している
- 高齢ではない
- 契約時に印鑑証明や実印を提出出来る
- 契約時に必要な書類の準備が迅速である
これらの条件に当てはまる人物が連帯保証人の条件として設定されていることが多いです。
特に契約者の親族というポイントは非常に大きく、出来るだけ両親や兄弟に依頼するのが良いとされています。
しかし、親類でも高齢である場合は連帯保証人としての能力が低いとみなされて、二人以上の連帯保証人が求められるケースもあります。
賃料が高額である場合も同じで、連帯保証人の収入だけでは賃料の支払いが難しそうな場合は複数人の連帯保証人が必要になります。
近隣に住んでいる事が重視されるのは、万が一連絡がつかない場合にすぐに直接出向く事が出来るからです。
賃料の未払いによって連帯保証人が必要になるケースの場合、少しでも早く連絡を取りたいので貸し手側としてはすぐに会える距離に連帯保証人がいることは重要なのです。
3. 【賃貸の連帯保証人の条件】連帯保証人の責任をきちんと理解しておこう
なかなか条件が厳しい連帯保証人ですが、ここまでハードルが高く設けられているのには理由があります。
それは連帯保証人の責任の大きさです。
連帯保証人になるとどのような責任や義務が生じ、なぜここまで必要とされるのかを解説していきます。
3-1. 連帯保証人制度の意味
連帯保証人制度が存在する最も大きな理由は「貸主を守る」というものです。
借主に何かあって賃料や退去時の費用、修繕費など様々な費用の支払いが滞ってしまうと、貸主はどうなるでしょうか?
1室を完全にムダにすることになって収入が減ってしまいますし、それどころか費用を捻出して次の人に貸せるように修繕を行う必要まで出てきてしまいます。
こうした費用をすべて貸主が支払っていては賃貸業が成り立たないので、それを回避するための保険として連帯保証人制度が設けられました。
万が一貸主から費用の回収が出来なくても、連帯保証人がいればそちらに請求することでマイナスを埋めることが出来ます。
連帯保証人制度は貸主が契約違反等によって被る被害を抑えるために必要な制度なのです。
3-2. 保証人と連帯保証人の違いって?
同じ保証人という言葉が使われていても、”連帯”という言葉がつくかつかないかで大きく責任が異なります。
保証人と連帯保証人の大きな違いは以下の3つです。
・連帯保証人は催告の抗弁権がない
催告の抗弁というのは「まずは主債務者に請求をしてください」と訴えることです。
賃貸契約の場合は借主に請求をしてほしいという訴えになりますが、連帯保証人はその主張が出来ずに無条件で請求に応じる必要があります。
・連帯保証人は検索の抗弁権がない
例えば借主に十分な貯金があるのに家賃を支払わない場合、保証人であれば主債務者の財産を強制執行するように主張が出来ます。
しかし、連帯保証人はそれが出来ないので、借主がどんなにお金を持っていても請求されたら支払わなければいけません。
・連帯保証人は全額を支払う必要がある
保証人が複数存在する場合はその頭数で割った額を返済すれば良いのに対し、連帯保証人は全額をすべての人が支払う必要があります。
総額以上のものを返済することはありませんが、基本的に全額負担となります。
このように通常の保証人と連帯保証人では、責任の重さに大きな違いがあります。
保証人では逃げ切られてしまうことが多いので、最近では殆どの賃貸契約時に連帯保証人が必要とされます。
3-3. 連帯保証人の責任と必要性
連帯保証人は借主とは別人でも、同等の責任を負わされる立場になります。
もしも未払いが生じてしまった場合、悪いのは借主だ!という主張は通らず、連帯保証人も同等の責任になります。
同等の立場・責任なのでもちろん未払金すべてを支払う必要があります。
前述したように連帯保証人には「催促の抗弁権」と「検索の抗弁権」がないので、借主を探してほしいことや請求を行ってほしいという訴えが出来ません。
借主次第では突然大きな金額の返済を無条件で求められてしまうというのが連帯保証人の責任の一つです。
このような重要な役割を担う連帯保証人が必要なのは、それほどまでに借主が原因のトラブルが多いからといえます。
家賃の未払いや夜逃げ、汚した部屋の修繕費の未払いなど、賃貸業には多くの住民との問題が発生します。
それらのリスクを少しでも回避するために、また借主にもしっかりとした責任意識を持ってもらう為にも連帯保証人は必要なのです。
3-4. 保証会社を利用することも可能
連帯保証人は非常に重たい責任を負うことになるので、なりたがらない人が多いです。
また、親族が少なかったり高齢である場合は保証能力がないと判断されてしまうことも多く、連帯保証人がいなくて賃貸契約が出来ないと悩むこともあります。
そんな時に利用出来るのが保証会社です。
保証会社は家賃の未払いが発生した場合に連帯保証人と同じ役割を担ってくれる存在で、貸主にとって非常に強い味方です。
借主にとっても連帯保証人を用意しなくていいメリットがある反面、保証会社に支払う費用がプラスされるというデメリットもあります。
費用は物件や保証会社によって異なりますが、家賃の半分や1ヶ月分、30%~70%などが多いです。
殆どの場合更新時に支払い、初回の契約時よりも2回め3回めの方が保証費用は下がる傾向にあります。
4. まとめ
連帯保証人の条件や責任、その必要性などについて解説をしてきました。
思っていた以上に連帯保証人になった場合の責任が大きく、トラブルが発生したときにはかなりの被害を被ることがわかったと思います。
少子高齢化が進む現代では連帯保証人として最も有力な両親・兄弟に頼めないというケースも多く出てきます。
その為上司や友人に連帯保証人を依頼する事も珍しくなく、条件を満たせば承認されることも増えてきました。
しかしその分連帯保証人に関連するトラブルも増加しているので、連帯保証人選びや頼まれたときの対処は慎重に行うようにしましょう。
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