新賃貸住宅標準契約書とは?賢く賃貸契約を交わすための重要ポイント

賃貸契約書について大切なポイントを押さえて紹介します。

賃貸契約をする前に知っておきたい事項がありますので、後悔することのないように契約書の内容を確認していきましょう。

正式には賃貸住宅標準契約書と呼ばれる書類に、サインをした時点で契約が完了します。

大家さんとの間に必要な取り決めが事細かに書いてありますが、甲や乙などの文字を見るだけで難しく感じられてしまい、きちんと読んでからサインをする人が少ないのが現状です。

2020年4月に予定されている変更内容にそって、賃貸住宅標準契約書をわかりやすく紹介します。

どんな約束事が書かれているのか、どんな契約内容にサインをしているのかを知るためのきっかけにしてください。

1.賃貸住宅標準契約書とは?

現在使われている賃貸住宅標準契約書は2012(平成24年)に数カ所の加筆がありましたが、1993年(平成5年)に作成されたものになり、国土交通省の管轄です。

主に、貸主と借主の間のトラブルを未然に防ぐ事を目的にし、大家さんの経営を合理化すること、借り手の安心した暮らしを実現するための取り決めが書かれています。

まずは不動産屋さんとの間でかわされる契約の流れを確認してみましょう。

何度か賃貸契約をしている人でも、ついその場の雰囲気に任せてしまい曖昧なこともあるかと思います。

始めに不動産屋さんから、物件について詳しく記載されている『重要事項説明書』の内容が伝えられますので、その内容に納得をしてから署名や捺印をします。

この時点ではまだ契約は完了していません。

次に、不動産会社から『賃貸住宅標準契約書』が渡されます。

賃貸契約書に、目を通して書かれている内容を確認した上で署名や捺印をし、この時点で契約が完了となります。

覚えておきたいことが、ひとつあります。

2つの資料に微妙な違いがあったときに、優先されるのは賃貸契約書です。

なんとなく『重要』と書かれている重要事項説明書のほうが大切に思えますが、あとから効力を発揮するのは賃貸契約書ですので、念入りに目を通しておきましょう。

2.賃貸住宅標準契約書の記載内容

不動産は、たとえ賃貸契約であっても「契約書が全て」と言われます。

そのために、専門用語や慣れない言い回しであったとしても、ポイントをおさえながら、しっかり内容を把握することが大切です。

賃貸住宅標準契約書に書かれていることが最優先されますので、営業マンとの口約束には気をつけましょう。

また、物件を案内してくれた人と実際に契約を交わすときの担当者が違うこともよくありますので、署名や捺印をする前のセルフチェックが重要です。

契約書に書かれている内容で、しっかり把握したいポイントは7点です。

2-1. 契約書の内容と実際の物件は同じもの?

賃貸物件の所在地や建物の名称、どんな構造で建てられているのか、リフォームのことや築年数などの基礎情報を確認しましょう。

2-2. 物件の付属品なのか、残置物なのか?

賃貸物件に置かれているものが、物件に所属しているものとは限りません。

特にガスコンロに関しては、以前に住んでいた人が残していったものの状態がいいために、そのまま置かれていることがあります。

部屋の中に置かれていますので、自由に使えることには変わりがありませんが、付属品か残置物なのかによって、壊れてしまったときに大きな違いがあります。

設備覧に『有』と印がついているものが付属品になり、故障の時には大家さんが修繕をしてくれます。

一方、残置物は、大家さんのものではありませんので、壊れてしまったときの修理は自費です。

時折、エアコンが残置物として残っていることがあります。

この時には、使用は任意ですので使えるのですが、修理代などは大家さんにはお願いできません。

付属品でないものが部屋にある場合には、入居前に撤去してもらうことも可能です。

2-3. 契約期間と家賃などの確認

契約期間と諸費用、支払い方法などの確認をします。

契約期間が2年と明記されていても、2年間住むことが条件ではなく、2年以上住む場合には、新たな契約料などの発生を意味します。

2-4. 大家さんと不動産会社の連絡先

大家さんがすぐ側に住んでいる場合でも、契約書に書かれている住所や緊急事態が発生したときに連絡できる場所も確認をして、すぐにわかるところに書き留めておきましょう。

2-5. 解約時の取り決めや禁止事項の確認

以前の物件の契約書と書かれている内容が、違うことがよくあります。

特に『退去通告期間』が、1カ月前のときもあれば、2カ月の場合もあります。

2カ月と明記されているのに、部屋を出ることを1カ月前に連絡してしまうと、ひと月分多く家賃を請求されることもあります。

ペットなどの禁止事項や違約金についても確認しておきましょう。

2-6. 入居中に発生した修理負担は?

細かい内容ですが、電球が切れてしまった時やエアコンなどの付属品が故障したときの対処法や連絡方法が書かれてします。

わかりにくい時には、その場で質問をしてきちんと確認をしましょう。

2-7. 原状回復義務と敷金の精算方法

あとからお互いにイヤな思いをすることのないように、しっかり確認しておきたいポイントです。

国土交通省が提供しているガイドラインは、あくまでも提案になり、契約書に書かれている内容と異なることがあります。

日焼けなどによる畳などの劣化が通常損耗の範囲であっても、契約書では別の記載がされているケースもあります。

署名や捺印をしてしまうと、契約書に同意したことになりますので、わかりににくいことは質問しながら進めていくことが不可欠です。

3. 平成30年3月改定される内容

1896年(明治29年)以来、約120年ぶりに民法が大改正される予定です。

大幅に内容が変更される民法に合わせて、賃貸契約を結ぶときに重要な賃貸住宅標準契約書にも大きな影響があります。

普段民法の話をしたり、民法が私たちの暮らしにどんな影響を与えているのか実感したりすることはあまりないかと思いますが、実はさまざまな場面で民法と私たちの暮らしには深い関わりがあります。

賃貸契約を交わす時も、同じことが言えます。

2017年(平成29年)に改正案が公布され、2020年4月1日に施工される賃貸住宅標準契約書の内容が、大きく改定されるのは以下の2点です。

  • 敷金と原状回復の決まりごとの明確化
  • 連帯保証人の保護を明確化

改正後の民法で、敷金の使われ方が明確化されました。

『デポジット』として記載され、未払いの家賃や退去時の修繕費に使われます。

内容としては現在も同様の使用法をされていますので、大きな違いはありませんが、今まであやふやであった敷金の使われ方が、明確化されています。

原状回復も同様で、旧民法では時間と共に自然に劣化していく『経年変化』についてはっきり書かれていませんでしたが、改正後には原状回復義務は経年変化を除いた範囲であると書かれています。

旧民法では、借り主が何らかの事情で家賃が支払えなくなったときに連帯保証人が支払う金額に上限はなく、法外な額の支払い義務が連帯保証人に生じることがありました。

改正後の民法では、曖昧であった上限額が契約書に明記されることになりました。

新しい契約書が有効になるのは、2020年4月以降に契約をしたケースに限ります。

2020年3月に契約を交わした物件の場合には、現在の契約書が有効ですので、気をつけましょう。

4. まとめ

2011年(平成23年)に東京都都市整備局に賃貸契約の相談はおおよそ5000件ありました。

契約内容についての問い合わせが27%、退去時の敷金についての相談が26%、修繕についての内容が16%と続きます。

賃貸住宅標準契約書を十分に確認しておくことで、トラブルの大半を避けられます。

不利になる契約を交わさないためにも、賃貸住宅標準契約書のポイントを押さえながら確認をして、契約に移りましょう。